敏感肌とは

敏感肌とは

スキンケア 研究所 敏感肌とは編

TOPICS①敏感肌とは

よく「敏感肌」と言われますが、じつは皮膚科学的には敏感肌の明確な定義はありません。顔に化粧品を塗った後や、石けんで洗顔した後に、チクチクしたりヒリヒリ焼けるように感じる、お肌がつっぱる感じがするけれど、目にみえる症状が特に見られない状態を敏感肌とよぶことが多いです。
敏感肌の多くは、健康なお肌に比べ、バリア機能が低下していて、皮脂が少なく乾燥しやすい傾向があります。体調の変化やストレス、冷暖房などの環境、花粉などの季節的要因に敏感に反応して、トラブルが生じやすいお肌です。

敏感肌の多くはお肌が乾燥している乾燥肌でもあります。

お肌の状態は、大きく4つに分けられます。

お肌の状態グラフ
疾患肌:
アトピー性皮膚炎や光線過敏症などの皮膚疾患があり、皮膚科での治療を必要とするお肌の状態のことです。
敏感肌:
紫外線、化粧品などの外用剤、外気中のほこりなどで皮膚トラブルを起こしやすく、多くの人には刺激にならない物質に対して敏感に反応してしまうお肌の状態のことです。
不安定肌:
疲れ、睡眠不足、生理、季節の変わり目、精神的なストレスなどによって刺激に対して一時的にトラブルを起こしやすくなっているお肌の状態のことです。
健常肌:
健康なお肌です。きめがととのっていてうるおいがあり、ハリ・つや・弾力があります。

敏感肌でまず気になるのはお顔まわりですが、腕、足、背中、頭皮などの部位も敏感肌になります。特に乾燥しがちな冬には、体のあちこちがかゆくなり掻いてしまう、衣服が擦れて赤くなる、フケや頭のかゆみがいつも以上に気になるなどの症状が起こる場合があります。

TOPICS②敏感肌の原因

なぜ敏感肌になってしまうのでしょうか。原因をもう少し詳しくご説明します。

お肌には通常、保湿機能がそなわっていて、お肌の表面は皮脂で覆われています(これを皮脂膜といいます)。また角層細胞の中では、アミノ酸などのNMF(Natural Moisturizing Factor, 天然保湿因子)が水分を抱きかかえ、さらに、角層細胞の間はセラミド(細胞間脂質)がすきまを埋め、水分を保っています。このお肌の保湿機能は、「皮膚のバリア機能」とよばれ、お肌の乾燥を防ぐとともに、外部からのさまざまな刺激から体をまもる大切な機能です。
ところが間違ったスキンケアなどによって、皮膚のバリア機能が低下するとお肌の水分を保つことできなくなるためお肌が乾燥し、外界からの刺激物質、アレルギー物質、細菌などが侵入しやすくなります

バリア機能が低下する原因として、間違ったスキンケア以外にも次のことがあげられます。

<内的要因>
生活環境の変化に伴う心理的疲労・睡眠不足・栄養の偏り・暴飲暴食・生理・妊娠・更年期障害・ストレス・皮膚の乾燥を引き起こす疾患など
<外的要因>
紫外線・化粧品などの外用剤・温度や湿度の変化・汗・ほこり・ダニ・金属・衣服など

例えば、お肌に悪い生活習慣はお肌のターンオーバーのリズムを崩し、バリア機能を低下させることもあります。
アレルギー症状によってお肌が敏感になっている場合や生まれつき皮膚疾患のある方は、皮膚科での治療が必要ですが、生活習慣が原因の敏感肌については、生活習慣を見直すことで改善することが多いと言われています。

表皮は内側から基底層・有棘層・顆粒層・角層で構成されています。

表皮の細胞の90%はケラチノサイト(角化細胞)で構成され、基底層で生まれ、形やはたらきを変化させながら移動し、やがてアカ、頭皮であればフケとなって剥がれ落ちます。
この生まれ変わりを『ターンオーバー』と呼び、部位差はありますが、成人の顔では一般的に約28日サイクルと言われています。

お肌の状態が悪くなるとターンオーバーは乱れ、ターンオーバーが早まってしまうと、十分に成熟していない状態の表皮細胞がお肌の表面に出てきてしまうため、お肌が本来持つバリア機能が発揮されなくなります。そのため、よりお肌が敏感になってしまいます。

敏感肌を改善するために、以下のことを心がけましょう。

  1. 正しいスキンケアをおこないましょう
  2. バランスの良い食事を心がけてさまざまな栄養素を摂るようにしましょう
  3. 十分な睡眠をとるなど規則正しい生活を心がけましょう
  4. 症状が悪化したらすぐに皮膚科で診察をうけましょう

TOPICS③敏感肌・乾燥肌のスキンケア

敏感肌になる主な原因の中に「お肌の乾燥」があげられます。なぜなら乾燥は敏感肌の始まりとなる可能性が高いからです。

さまざまな内的要因や外的要因によって、角層の中に水分をたくわえてくれるセラミドやNMFが少なくなり角層の中の水分が減少することでお肌が乾燥してしまいます。このような状態になると、少しの刺激にも過敏に反応してしまい、さらにお肌が乾燥するという悪循環になってしまいます。
では、お肌が乾燥しないようにするためには、どうすればよいでしょうか?
まず、お肌を清潔に保ち、保湿剤によってお肌のうるおいを保ち、紫外線からお肌をまもりましょう。使用するスキンケア化粧品についてはお肌の状態にあったものを選び、正しく使うことがとても大切です。

保湿をしましょう

スキンケアの基本は、お肌を清潔にし(洗浄)、うるおいを与え(保湿)、紫外線からまもる(遮光)ことですが、特に敏感肌・乾燥肌のスキンケアにおいては保湿が重要です。

健康で美しいお肌は、水分と油分のバランスがととのっていて、なめらかでうるおいがありますが、バリア機能が低下したお肌は、水分を保持できないため、みずみずしいお肌を保てず乾燥しがちです。化粧水などの保湿剤は、乾燥したお肌に水分をあたえ、また乳液やクリームなど油分の入った保湿剤を重ねて塗布することで水分の蒸発を防ぐことで、保湿効果を高めます。適切な保湿をおこなうことで乾燥症状は軽減し、結果として肌あれを防ぎ、美肌にもつながっていきます。

保湿剤について詳しくは「乾燥肌にあった化粧水を」ページをご覧ください。

敏感肌・乾燥肌にあった化粧品を使いましょう

スキンケアをしっかりおこなうことはとても重要ですが、使用するスキンケア化粧品が刺激になってしまっては本末転倒です。敏感肌・乾燥肌にあった低刺激性の化粧品を選びましょう。

敏感肌・乾燥肌に合った化粧品とは?選び方のポイント

スキンケアの基本は洗浄・保湿・遮光・メイクの4つがあげられます。

  1. 洗浄:お肌を清潔に保つ
  2. 保湿:お肌にうるおいを与え、保つ
  3. 遮光:お肌を紫外線からまもる
  4. メイク:お肌を紫外線やホコリ、乾燥からまもる

洗浄であればクレンジング料や洗顔料、保湿であれば化粧水やクリーム、遮光はサンスクリーン剤(日やけ止め)といったスキンケア化粧品を使います。

敏感肌の方は、これらの化粧品を使ったときにピリピリしたりチクチクしたり、お肌に合わなかったと感じたことがあるかもしれません。敏感肌では、お肌のバリア機能が低下しているために、外部刺激に敏感で皮膚トラブルを起こしやすくなっています。このような状態で化粧品を使用すると、場合によってはお肌がかゆくなったり、肌荒れが悪化したりといった影響がでることがあります。

ではお肌が敏感になっているときにはどのようなスキンケア化粧品を使ったらよいのでしょうか。
まずは、敏感肌向けに開発された低刺激性の化粧品を選びましょう。これらの化粧品では開発段階でお肌に刺激がないかが確認されており、さらに敏感肌の方が実際に使用する使用テストがおこなわれていることも多くあります。

またスキンケア化粧品を使うことで、バリア機能を低下させないこと、さらにバリア機能を補うことも大切なポイントです。 洗浄力の高い洗顔料は必要以上に皮脂を取りすぎてしまうため、洗顔後のお肌が乾燥しやすくなります。バリア機能を低下させずにお肌のうるおいをまもって洗うことができる敏感肌向けの洗顔料を使用するようにしましょう。

洗顔後は、化粧水でしっかりと水分を補い、保湿美容液やクリームを重ねて水分の蒸発を防ぎましょう。低下したバリア機能を補うセラミドやスクワラン、アミノ酸などのNMF成分が配合されている保湿剤がおすすめです。

外出の際にはサンスクリーン剤を塗ってバリア機能の低下を防ぎましょう。サンスクリーン剤に配合される紫外線を防ぐ成分は、「紫外線散乱剤」と「紫外線吸収剤」に大別されますが、敏感肌の方は「紫外線散乱剤」を使用しているものを選択するとよいでしょう。「紫外線吸収剤不使用」といった記載がされていることが多いです。また遮光効果を示すSPF、PA値が高いと刺激も強いのでは、と思われる方もいるかもしれません。日常生活ではSPF30程度で十分と言われています。長時間日光に当たる場合や、紫外線に対して特にお肌が敏感な方はしっかり遮光をしましょう。塗り直しも忘れずにおこないます。

お肌に合ったスキンケア化粧品を選んだら、正しいスキンケアをおこなってお肌の調子をととのえましょう。次に正しいスキンケア方法をご紹介します。

正しいスキンケアを心がけましょう

敏感肌や乾燥肌は、皮膚を清潔に保ち、皮膚のバリア機能を正常に保てるような毎日のスキンケアが重要です。保湿力がある化粧品を選んで、スキンケアやメイクに気を配りましょう。

肌に合うかチェック
肌の状態は人それぞれ。本格的に使い始める前に、サンプルやトライアルキットなどで自分の肌に合うかどうかを試してみることをおすすめします。
正しく使う
どんな化粧品も自己流の使い方ではせっかくの効果が半減してしまうこともあります。使用する手順や使用量など説明書をよく読んで正しい使い方をまもることが大切です。
皮脂を取りすぎないもの
洗浄力の強いものの中には皮脂を取りすぎてしまうものもあります。おだやかな洗浄成分のものを選ぶとよいでしょう。洗顔料でのお顔のスキンケアはもちろんのこと、体を洗うものにも気をつけましょう。シャンプーも適度な洗浄力のものを使用することで頭皮の乾燥を防ぐことができます。

クレンジング編

クレンジング編

ファンデーションなどでメイクアップをした日は、洗浄のステップのひとつ、お肌の調子をととのえる役割も担う「クレンジング」がとても大切です。メイクアップや皮脂汚れなどがきちんと落とせていないと、肌あれや毛穴のつまりなどにもつながってしまいます。

バリア機能が低下している敏感肌や乾燥肌の場合、クレンジング方法を間違うと、ヒリヒリしたり、赤みがでたり、肌あれが進んでしまう可能性もあります。お肌への負担が少なく、メイクアップやお肌の汚れをきちんと落としつつも、うるおいを保ってくれるクレンジング料がおすすめです。

敏感肌の方は必要以上に皮脂を落とし過ぎないタイプのものを選ぶのはもちろんのこと、その使い方も大切です。間違った使い方はお肌をさらに乾燥させたり、お肌の症状を悪化させることもあります。お手入れ方法を見直すことで、刺激を感じにくくなることもあります。

詳しくは「敏感肌のクレンジングで大切なこと」ページをご覧ください。

洗顔編

洗顔編

洗顔の目的は皮脂や古い角質、ほこりを落とし、清潔な肌を保つことですが汚れとともに細胞間脂質など皮膚のバリア機能にとって重要な成分も一緒に洗い流してしまうことがあります。そのため、洗顔料の選び方や洗顔方法を間違うと、お肌はより乾燥し、敏感になってしまう恐れがありますので、「いかに皮膚のバリア機能の低下を防ぐか」が重要になります。
洗顔料にはさまざまなタイプがありますが、敏感肌の方はうるおいをまもりながら汚れをきちんと落とすことができる洗顔料を選びましょう。洗浄成分でいうと、脂肪酸石けんが主体の洗顔料がおすすめです。
詳しくは「敏感肌の洗顔で大切なこと」ページをご覧ください。

化粧水編

化粧水編

顔は常に外気にさらされているため紫外線や花粉などの影響を受けやすく、体と比べても敏感になりやすい部位ですので、化粧水がしみたり、ヒリヒリ感じることもあります。バリア機能が低下し乾燥したお肌に使える化粧水選びのポイントは、しっとりとした感触の、低下した皮膚のバリア機能を補うためにアミノ酸などのNMF成分をはじめとした保湿成分を配合した商品がおすすめです。
また、注意点として次のようなことがあります。

  • アルコールやメントールなどの清涼成分配合のものは避ける
  • 香料や着色料を添加したものは避ける

個人差はありますが、少しでも肌の刺激になるものを避けることが選び方のポイントです。
さらに使い方もとても重要です。間違った使い方では、刺激の少ない化粧品もお肌にとって刺激となることもありますし、保湿効果を十分に発揮できないこともあります。
詳しくは「乾燥肌にあった化粧水を」ページをご覧ください。

美容液編

美容液編

基礎化粧品のなかでも特別なケアをしてくれるのが美容液です。「化粧水やクリームでは物足りない」「くすみやしみが気になる」「しわをケアしたい」など、プラスアルファのケアを望んでいる方におすすめです。
敏感肌になると、健康なお肌に比べ、バリア機能が低下することから、皮脂が少なく乾燥しやすい傾向にあります。 そのため、敏感肌をケアするには、「保湿」を心がけることがもっとも重要です。美容液の中でも保湿美容液がおすすめです。
特におすすめの配合成分はセラミドです。セラミドが配合されている美容液を使用することで、角層により多くの水分を保持することができます。敏感肌の方はテスターやサンプルなどでお肌に合うかどうか確認するのも忘れないようにしましょう。
詳しくは「敏感肌用美容液を選ぶポイント」ページをご覧ください。

サンスクリーン剤(日やけ止め)編

サンスクリーン剤(日やけ止め)編

敏感肌の方は、お肌をまもるバリア機能が低下しているので、健康なお肌の方よりも紫外線の影響を受けやすく、炎症(日やけ)、しみ、そばかす、たるみ(光老化)、肌あれなどが起きやすくなっています。したがって紫外線を防ぐ日やけ止めをきちんと塗ることが大切です。
ミルク(乳液)タイプのように落としやすく、お肌にやさしい低刺激性のものが敏感肌用スキンケア・化粧品シリーズから多く販売されています。乾燥感が気になる方はしっとりした感触のクリームタイプ、さっぱりした感触がお好みであればローションタイプがおすすめです。まずはお肌に合う、使い心地の良いものを選びましょう。
季節や利用シーンによってタイプやSPF、PAの異なる日やけ止めを使い分けたり、汗や水に強いウォータープルーフ性のものを選択することも大切です。そして、日やけ止めはお顔だけではなく、身体にも必要です。敏感肌の方はもちろん、健康なお肌の方も日常生活に紫外線対策を取り入れ、ケアしていきましょう。
詳しくは「日やけ止め(日焼け止め)を選ぶポイント」ページをご覧ください。

メイク(ベースメイク)編

メイク(ベースメイク)編

ベースメイクには化粧下地、コンシーラー、ファンデーション、フェイスパウダーなどさまざまな種類がありますが、敏感肌の方はまずは敏感肌の方向けに開発された低刺激性の化粧品を選択しましょう。またメイクを落とす時にも、お肌に負担が少ないことを考えましょう。

  • 低刺激性の成分
  • 塗布時の摩擦が少ない
  • 落としやすい

のびがよいものや、ファンデーションであればスポンジでつけるものよりパフでやさしくおさえるようにつけるものが、お肌への摩擦による刺激が低くおすすめです。またメイク落としを使わずに洗顔料だけで落とせる、落としやすいものがお肌への負担が少なくなります。
詳しくは「敏感肌・乾燥肌のためのベースメイク」ページをご覧くだください。

TOPICS④敏感肌と加齢・生理・妊娠・更年期の関係

女性には毎月やってくる生理や妊娠、年を重ねるとやってくる更年期、加齢によるお肌の変化など様々な出来事がおとずれます。それは女性ホルモンの働きが影響しているといわれています。この女性ホルモンの働きは変えることができませんが、それぞれのシーンに適した対処をおこなうことにより、敏感肌や乾燥肌の悪化を防ぐ手助けとなります。

<生理前・生理中>
月に一度やってくる生理。お腹の鈍い痛みやPMS(月経前症候群)などに悩まされている方もいる一方、敏感肌の方はホルモンバランスの崩れから、さらにお肌が敏感になり、少しの擦れでもお肌が赤くなる、かぶれる、化粧水を変えていないのに乾燥が気になるなどの悩みが増える場合があります。
その原因は女性ホルモンの変化にあるといわれています。中でも「卵胞ホルモン(エストロゲン)」は、排卵を促進させるホルモンでお肌や髪の生成に役立っています。これが生理前や生理中には減少することで、水分保持が低下し乾燥を引き起こします。そのため生理前や生理中はいつも以上に保湿ケアが必要です。そして「黄体ホルモン(プロゲステロン)」は排卵後(生理前)に増えるのですが、これがお肌のバリア機能低下を招きます。皮脂を過剰に分泌し、毛穴のつまりや吹き出物をできやすくします。さらにメラニン色素の生成も盛んになるため、紫外線対策はこの時期さらにしっかりと行う必要があります。

この生理前・生理中はできるだけお肌に刺激を与えないようにしましょう
例えば、この時期に新しい化粧品を使いはじめるのはさけるようにしましょう。またお肌に刺激となる脱毛や除毛などの摩擦を引き起こすことはさけ、いつも以上にやさしい洗浄を心がけ保湿を十分に行うようにしましょう。
<妊娠・更年期>
妊娠中や更年期の時は、月経周期と同じように女性ホルモンの影響を大きく受ける時期です。そのため、体調が良かったり悪かったり、またそれに伴いお肌の状態も良くなかったり、逆に敏感肌になってしまったりすることもあります。体調がすぐれなかったり、お肌の状態が良くない時には、ストレスをためないようしっかりと休息をとり、栄養バランスや生活習慣に気を付けて、無理をしないようにしましょう。
敏感肌になっている時には、低刺激性の化粧品を使用し、お肌をいたわってあげましょう。妊娠中の妊娠線予防には、お肌の柔軟性を高めるためのマッサージや保湿が効果的と言われています。お肌が敏感になっている時期ですので低刺激性のクリームなどを選び、お風呂上りなどお肌が軟らかくなっている時にやさしく塗るようにしましょう。妊娠線の予防としてはお腹が大きくなる前から始めるのが効果的です。
<加齢に伴う皮膚の変化・敏感肌と加齢変化>
年齢を重ねるとともにお肌の悩みが増えたと感じたことはありませんか。
皮膚の老化は自然老化と光老化に分けられます。自然老化は加齢に伴い誰でも起こるもので、お肌のハリや弾力に関わる真皮のコラーゲンやエラスチンが徐々に減少します。一方、光老化は長年紫外線を浴びつづけたことによって起こるもので、コラーゲンやエラスチンの著しい減少によってしわができたり、メラニン産生が高まることによるしみの目立ちなど、見た目の変化が大きい老化です。全身の中でも特に紫外線を浴びている顔は光老化の影響が最も出やすい部位です。光老化は紫外線を防ぐことで予防することができますので、サンスクリーン剤を塗って紫外線からお肌をまもりましょう

また若いときは敏感肌ではなかったのに、年齢にともなってお肌に合わない化粧品が増えたり、乾燥が気になったりとお肌が敏感になったと感じる方も多いでしょう。加齢によって皮脂分泌量が減少するためお肌はより乾燥しやすくなり、バリア機能が低下します。このため若いときよりもお肌が敏感になったと感じることもあります。
敏感肌の方はハリのなさやしわなどの加齢変化が健康なお肌の方と比べて若いうちから気になりやすいとも言われています。敏感肌はバリア機能が低下しているため外からの刺激を受けてお肌のなかで炎症が起こりやすい状態です。慢性的な炎症はお肌の加齢変化につながりやすくなります。
バリア機能に着目したスキンケアをしっかりとおこなって、若々しいお肌を保ちましょう。

TOPICS⑤敏感肌と食べ物(栄養)の関係

日頃のスキンケアも大事ですが、お肌のターンオーバーを促す食材を上手に取り入れて、内側からのケアもしていきましょう。

皮膚のもと:たんぱく質

たんぱく質は、お肌には欠かすことのできない栄養素でアミノ酸からできています。皮膚、筋肉、内臓、爪、毛髪といった部分は主にはたんぱく質で形成されています。たんぱく質が不足すると、お肌のターンオーバーが乱れ、結果としてバリア機能が低下し皮膚トラブルをおこしがちになります。またコラーゲンなどの皮膚の構造を保っているのもたんぱく質なので、十分にたんぱく質が摂れていないとお肌のハリ、つや不足にもつながります。

たんぱく質には、動物性たんぱく質(肉、魚、乳製品、卵など)と、植物性たんぱく質(大豆、穀物、野菜など)があります。動物性のほうがたくさん摂取しやすいのですが、植物性たんぱく質にも他のよい栄養素がふくまれていますので、バランスよく取り入れるようにしましょう。

皮膚を作り出す代表的な栄養素:鉄分

鉄分は、人の体に必要ミネラルの一種です。鉄が不足すると貧血を引き起こすだけでなく、お肌の新陳代謝を妨げ、お肌のはりやしわの原因になる場合があります。また老廃物を排出する機能も低下し、むくみにもつながります。
その鉄分には大きく2種類あります。野菜や海藻、大豆などの植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」と、肉、魚などの動物性食品に含まれる「ヘム鉄」です。「ヘム鉄」は体内への吸収率が高く、「非ヘム鉄」はたんぱく質やビタミンCを多く含む食品と一緒に摂取することで、体内への吸収率をアップさせることができます。 たんぱく質同様、栄養バランスのよい食事を心がけることが大切です。

新陳代謝(ターンオーバー)を促す代表的な栄養素:ビタミン群

ビタミンは、お肌の新陳代謝(ターンオーバー)に必要な栄養素です。特に、ビタミンA、ビタミン C、ビタミンE、ビタミンB群を積極的に摂り入れるようにしましょう。
ビタミンA ビタミンAは、皮膚を修復し、お肌のターンオーバーを促進あるいは正常化させる栄養素のひとつです。にんじんやほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜、レバー、うなぎ、バターなどに多く含まれています。
ビタミンC ビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、お肌のターンオーバーをととのえてくれます。また、毛穴を引き締め代謝を促進する効果もあります。さらに抗酸化作用があり、しみやそばかすの原因となるメラニン色素の生成も抑制してくれるので、お肌の新陳代謝には欠かすことのできない栄養素です。いちご、キウイフルーツなどの果物や、ブロッコリー、赤ピーマン、菜の花、ほうれん草などの野菜に多く含まれます。
ビタミンE ビタミンEは、活性酸素を抑えてくれる働きがあるので、お肌のバリア機能を高め、乾燥の予防、お肌のターンオーバーをととのえる手助けをしてくれます。ごま油などの植物油、アーモンドなどのナッツ類、アボカド、かぼちゃ、赤ピーマンなどに多く含まれます。
ビタミンB群 ビタミンB群は、不足すると代謝が悪くなります。お肌のターンオーバーをととのえるためには必要な栄養成分です。また、ビタミンB1、B2、B6などは皮膚や粘膜の発育をうながしてくれます。これが不足すると、乾燥やにきびなどの肌あれが起きやすくなります。卵、レバー、大豆製品、乳製品、豚肉などに多く含まれています。

避けたほうがよい食べ物

一方で、つい食べすぎてしまいがちな、また栄養素が不足している食材やお肌の代謝を妨げるような食べ物は、取りすぎに注意したほうがいいでしょう。

脂肪の多い赤身以外のお肉や、糖質の多いパスタ、ラーメンなどは、栄養バランスがとりにくい食材です。お肌の生成に必要な栄養素はこれだけですと不足してしまうため控えめにするか、たんぱく質、鉄分、ビタミンなどが多く含まれた食材を一緒にとるなど工夫するようにしましょう。

また生野菜や冷たい飲み物やアルコールの取りすぎは、体が冷えて血行が悪くなることがあります。その結果、お肌の代謝が悪くなることがありますので、取りすぎに注意しましょう。

TOPICS⑥敏感肌と生活習慣

忙しいと乱れがちになる生活習慣。健康的な生活習慣はお肌の健康のためには重要です。ついついこのような生活習慣になっていないか見直してみましょう。

  • バランスの悪い食事
  • 睡眠不足
  • 過剰なストレス
  • 掃除や洗濯の頻度が低い
  • お酒、カフェインなどの嗜好品の過剰摂取
  • 喫煙

生活習慣の乱れによって体調が悪くなったり、またお肌に負担になったりと、敏感肌になってしまう原因になります。お肌の状態がどうしてもよくならない時には生活習慣を見直してみましょう。

生活習慣改善のヒント

食事 ・3食バランスよく取りましょう。栄養バランスが崩れるとお肌にも影響がでやすくなります。
・間食の取りすぎに注意しましょう。
睡眠 不規則な生活や睡眠不足はお肌にも影響を及ぼします。寝具を清潔に保つことにも注意しましょう。
嗜好品 お酒・カフェインはとりすぎに注意しましょう。
ストレス ・精神的なストレスは溜め込む前に運動などで発散しましょう。
・疲れがひどいときには、十分な休息をとりましょう。
喫煙 ビタミンCを破壊するといわれているたばこは、しみやしわの原因となります。喫煙中の人は本数を減らしたり、禁煙にチャレンジしてみましょう。
身の回りを清潔に 敏感肌の改善には外からの刺激を避けることが重要です。身の回りを清潔にすることで、お肌への刺激を最小限に抑えることが出来ます。
枕カバーやフェイスタオルなど、毎日お肌に触れるものは清潔に保つようにしましょう。
乾燥対策 エアコンなどで室内は思った以上に乾燥しています。加湿器を使ったり、保湿剤などでうるおいを補ってあげるのもよいでしょう。保湿成分が配合されたミスト化粧水であれば化粧の上からでも使えておすすめです。
衣類のこすれ 衣類とお肌のこすれは摩擦刺激としてお肌に影響を及ぼすことがあります。肌あたりのよいものを選択しましょう。
髪/シャンプーの残り 髪の毛の毛先があたることも敏感肌の方にとっては刺激になります。髪の毛はすっきりとまとめましょう。また洗浄剤の洗い残しもお肌への刺激になります。シャンプーをしたときはきちんとすすぎましょう。洗顔のときには髪の生え際の洗い残しにも注意します。

TOPICS⑦悪化したら皮膚科へ

敏感肌・乾燥肌、不安定肌の方では、正しいスキンケアを毎日おこなっていても、体調や季節などの変化によって皮膚症状が悪化することがあるかもしれません。原因がわからず、症状が治まらないときは、無理してあれこれと対策をとるよりも、皮膚科を受診して医師の診察を受けましょう。