敏感肌の原因

敏感肌の原因

スキンケア 研究所 敏感肌の原因編

TOPICS①敏感肌の原因

「敏感肌」とよく言われてはいますが、実は皮膚医学において敏感肌の明確な定義はありません。そのため、「敏感肌」は、アトピー性皮膚炎などの疾患やアレルギー体質を指す場合から、ささいな要因で肌トラブルを起こしやすいなどの一時的なお肌の不調を含めるときもあります。 一般的に「敏感肌」と呼ばれる肌では、皮膚のバリア機能が低下しており、アレルゲンや紫外線などの外的刺激に対して敏感に反応し、かゆみや赤みなどの肌トラブルを起こしやすく、また水分が逃げやすいために乾燥しやすくなっています。

なぜ敏感肌になってしまうのでしょうか。

お肌には通常、皮膚のバリア機能が備わっています。お肌の表面は皮脂で覆われていて(これを皮脂膜といいます)、角層では、アミノ酸などのNMF(Natural Moisturizing Factor, 天然保湿因子)が水分を抱きかかえ、さらに、角層細胞の間をセラミドなどの細胞間脂質がすきまを埋めることによって、体内の水分が逃げないようになっています。
ところが、環境、ホルモンバランスや生活習慣などによって皮膚のバリア機能が低下すると、お肌の水分を保つことできなくなるため、お肌は乾燥し、外界からの刺激物質などが侵入しやすくなります。

バリア機能が低下する原因としては、次のことがあげられます。

<内的要因>
生活環境の変化に伴う心理的疲労・睡眠不足・栄養の偏り・暴飲暴食・生理・妊娠・更年期障害・ストレス・皮膚の乾燥を引き起こす疾患など
<外的要因>
紫外線・化粧品などの外用剤・温度や湿度の変化・汗・ほこり・ダニ・金属・衣服など

例えば、生活習慣の乱れなどによってお肌のターンオーバーのリズムが崩れ、バリア機能を低下させることもあります。アトピー性皮膚炎やアレルギー症状によってお肌が敏感になっている場合などには、皮膚科での治療が必要ですが、生活習慣が原因で敏感肌になっているような場合には、生活習慣を見直すことで改善することがあります

お肌のターンオーバーとは?

表皮は内側から基底層・有棘層・顆粒層・角層で構成されています。

表皮の細胞の90%はケラチノサイト(角化細胞)で構成され、基底層で生まれ、形やはたらきを変化させながら移動し、やがてアカ、頭皮であればフケとなって剥がれ落ちます。この生まれ変わりを『ターンオーバー』と呼び、部位差はありますが、成人の顔では一般的に約28日、からだ(背中)は5〜7週間といわれています。

お肌の状態が悪くなるとターンオーバーが早まってしまうことがあります。ターンオーバーが早くなると、十分に成熟していない状態の表皮細胞がお肌の表面に出てきてしまうため、お肌が本来持つバリア機能が発揮されなくなります。そのため、よりお肌が敏感になってしまいます。

TOPICS②敏感肌の症状

お肌の状態は、敏感肌を含め大きく4つに分けられます。

お肌の状態グラフ
疾患肌:
アトピー性皮膚炎や光線過敏症などの皮膚疾患があり、皮膚科での治療を必要とするお肌の状態のことです。
敏感肌:
紫外線、化粧品などの外用剤、外気中のほこりなどで皮膚トラブルを起こしやすく、多くの人には刺激にならない物質に対して敏感に反応してしまうお肌の状態のことです。
不安定肌:
疲れ、睡眠不足、生理、季節の変わり目、精神的なストレスなどによって刺激に対して一時的にトラブルを起こしやすくなっているお肌の状態のことです。
健常肌:
健康なお肌です。きめがととのっていてうるおいがあり、ハリ・つや・弾力があります。

アレルギーやアトピー性皮膚炎などを持つ「疾患肌」は皮膚科での治療を必要とするお肌の状態のことです。それに対し「不安定肌」は、普段の生活や季節の変化などにより一時的におこる敏感なお肌の状態をさします。
その中間にある「敏感肌」は、紫外線、化粧品などの外用剤、外気中のほこりなどで皮膚トラブルを起こしやすく、多くの人には刺激にならない物質に対して敏感に反応してしまうお肌の状態のことで、以下のような症状を感じることがあります。

  1. 花粉やほこりなどの汚れで、お肌がムズムズかゆく感じることがある
  2. ヒリヒリ感じることがある
  3. 赤みが気になることがある
  4. いつもと同じ化粧品を使っているのに、お肌の状態がいつもと違う
  5. いつもと同じ保湿をしても、乾燥している感じがする

一般的に「敏感肌」と呼ばれる肌では、皮膚のバリア機能が低下しており、紫外線やほこりなどの外的刺激に対して敏感に反応し、かゆみや赤みなどの肌トラブルを起こしやすく、また水分が逃げやすいために乾燥しやすくなっています。このような症状を感じたときには、お肌を掻いて傷つけてしまいがちです。
ご自分のお肌の健康状態を意識して、その状態にあった適切なスキンケアやメイクアップをおこなうようにしましょう

TOPICS③アレルギーやアトピー性皮膚炎による敏感

「敏感肌」と呼ばれるお肌は、ささいな要因で肌トラブルを起こすお肌の不調のことを言いますが、その要因としてアレルギー症状やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患がある場合があります。
アレルギー症状やアトピー性皮膚炎がどのようにして起こるのかについて説明します。

アレルギー症状とは?

皮膚には、外界からの刺激物質、細菌などの異物(アレルゲン、抗体)の侵入を防ぐためのバリア機能という仕組みがあります。
しかし、皮膚のバリア機能を突破されてしまう場合があります。その際に自己を防御するため、「免疫」という皮膚に備わっている機能がはたらきます。
ところが、免疫の機能が過剰に反応し、本来はからだをまもるはずが自分自身を傷つけてしまうことがあります。これがアレルギー反応です。アレルギーの原因となる異物を「アレルゲン」といいます。花粉、ダニ、ほこり、食物など、多くの種類のアレルゲンがあり、どのアレルゲンに反応するかは人それぞれ異なります。

アレルギーの種類について

アレルギーは、T型〜X型の5種類に分類することができます。敏感肌に関係のあるアレルギーは、T型アレルギー、またはIgE依存型アレルギーと呼ばれており、症状が発現するまでの時間が短時間となっているのが特長です。T型アレルギーには、アレルギー性喘息、アレルギー性鼻炎、花粉症、アトピー性皮膚炎、食物、金属アレルギーなどが含まれます。
※アレルゲンを排除するために、IgE抗体というタンパク質が産生されます。
IgE抗体が血液中を流れ皮膚や粘膜に複数あるマスト細胞に固着し、アレルゲンが再度侵入すると、マスト細胞からヒスタミンなどの生理活性物質が放出され、かゆみなどのアレルギー症状があらわれます。

金属アレルギーとは?

私たちの身の回りでは、アクセサリー、硬貨、バックル、ビューラー、時計など様々なものに金属が使われています。しかし、この金属も人によってはアレルゲンとなってしまい、接触することで炎症を引き起こすことがわかっています。最近はピアスをつける人が多くなってきて、金属アレルギーになってしまう人も増えています。特にアレルギーを引き起こしやすい金属もわかってきていますので、原因となる金属がお肌に触れないようにすることが大切です。

化粧品では、メイク品や日やけ止めなどに酸化鉄という金属が使用されています。この「酸化鉄」の中には、不純物としてコバルト、ニッケル、クロムなど複数の金属がわずかに含まれていることがあります。コバルトやニッケル、クロムは金属アレルギーを起こしやすい金属です。そのため金属アレルギー対策として、そのような不純物が少ない原料選択したり、酸化鉄をコーティングするなどの工夫がなされています。メイク製品や日やけ止めをつけて赤み、かゆみ、かぶれの症状が出るような場合には、原因が化粧品に含まれる金属の可能性がありますので、皮膚科で検査を受けて原因の成分を調べてもらうことをおすすめします。金属アレルギーがある場合は敏感肌向けの化粧品などを選ぶようにしましょう。

アトピー性皮膚炎とは?

アトピー性皮膚炎は、アトピー素因(アレルギー的側面)と、皮膚バリア機能の低下(非アレルギー的側面)という生体側の要因、掻破や乾燥などの環境要因によって、炎症や湿疹があらわれる疾患です。

<アトピー素因>
  1. 家族歴・既往歴(気管支喘息,アレルギー性鼻炎・結膜炎,アトピー性皮膚炎のうちいずれか,あるいは複数の疾患)があること
  2. IgE抗体を産生しやすい体質

以前は、アトピー素因(アレルギー的側面)の関与が大きいように考えられてきました。最近の研究では、フィラグリン遺伝子異常やセラミド(細胞間脂質)の減少などの原因による皮膚バリア機能の異常がアトピー性皮膚炎の発症に深く関与することがわかってきています。
正しいスキンケアを毎日おこなっていても、体調や季節などの変化によって皮膚症状が悪化することがあるかもしれません。原因がわからず、症状が治まらないときは、あれこれと対策をとるよりも、皮膚科を受診して医師の診察を受けましょう。特に、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性の疾患がある場合には、皮膚科での治療が基本になります。
炎症などの皮膚症状を改善するのはあくまでも薬物療法ですが、その効果を妨げず症状の再発を予防するために適切なスキンケアをおこないましょう

TOPICS④敏感肌は顔だけではない

敏感肌でまず気になるのは顔まわりですが、腕、足、背中、頭皮などの部位も敏感肌になります。
外部の刺激からからだをまもる皮膚は、顔の皮膚と同じく環境やストレスなどの影響を受けやすく、季節、年齢や生活習慣によっても大きく異なります。
特に冬にはお肌は乾燥しやすくなり、からだのあちこちがかゆくなったり、衣服がこすれて赤くなる、フケや頭のかゆみがいつも以上に気になるなどの症状が起こる場合があります。
顔だけではなく、からだでも敏感肌になってしまいますので、洗いすぎに注意し、きちんと保湿をしましょう。

TOPICS⑤敏感肌の予防と対策

健康な皮膚は、水分と油分のバランスが整っています。しかし、皮膚のバリア機能が低下し、このバランスが崩れると水分が維持できずに乾燥し、様々な刺激を受けて炎症が起こりやすい皮膚になります。そのため、皮膚を清潔に保ち、皮膚のバリア機能を正常に保てるような毎日のスキンケアが重要です。

皮膚のもと:たんぱく質

たんぱく質は、お肌には欠かすことのできない栄養素でアミノ酸からできています。皮膚、筋肉、内臓、爪、毛髪といった部分は主にはたんぱく質で形成されています。たんぱく質が不足すると、お肌のターンオーバーが乱れ、結果としてバリア機能が低下し皮膚トラブルをおこしがちになります。またコラーゲンなどの皮膚の構造を保っているのもたんぱく質なので、十分にたんぱく質が摂れていないとお肌のハリ、つや不足にもつながります。

たんぱく質には、動物性たんぱく質(肉、魚、乳製品、卵など)と、植物性たんぱく質(大豆、穀物、野菜など)があります。動物性のほうがたくさん摂取しやすいのですが、植物性たんぱく質にも他のよい栄養素がふくまれていますので、バランスよく取り入れるようにしましょう。

1. 敏感肌のスキンケアの3つのポイント

  1. お肌に合うかチェック
    お肌の状態は人それぞれです。本格的に使い始める前に、サンプルやトライアルセットなどで自分のお肌に合うかどうかを試してみることをおすすめします。
  2. 正しく使う
    どんな化粧品も自己流の使い方ではせっかくの効果が十分得られないこともあります。使用する手順や使用量など説明書をよく読んで正しい使い方をまもることが大切です。
  3. 皮脂を取りすぎないもの
    例えば、洗浄力の強い洗顔料などでは、皮脂を取りすぎてしまうものもあります。おだやかな洗浄成分のものを選ぶとよいでしょう。洗顔料でのお顔のスキンケアはもちろんのこと、からだを洗うものにも気をつけましょう。シャンプーも適度な洗浄力のものを使用することで頭皮の乾燥を防ぐことができます。

2. 敏感肌には保湿が大事

敏感肌では、皮膚のバリア機能が低下していますので、刺激物質がお肌の中に侵入しないようにすることがポイントとなります。
低下した角層のバリア機能を補うために保湿をおこないましょう。
皮膚バリアの3因子として皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質の3つがありますので,保湿剤ではこれらの3つの因子を補う成分が配合されているものがおすすめです。

「皮脂」の役割を補う成分としてはコレステロールやスクワラン、「天然保湿因子」を補う成分にはアミノ酸、「細胞間脂質」を補う成分としてはセラミドなどがあげられます。これらの保湿成分は、保湿化粧品(保湿剤)で補うことができます。
保湿化粧品(保湿剤)は大きく、化粧水、美容液、乳液、クリームに分けられ、それぞれにお肌の保湿にとって重要な役割があります。

化粧水:
角層へ水分を補給する
美容液:
保湿成分や美容成分を補給する
乳液:
角層の水分・保湿成分を維持する
クリーム:
皮膚表面で油の膜をつくり
水分の蒸散を抑える

皮膚の乾燥度合いや使用感の好みはありますが、敏感肌では、これらの作用を持つ保湿化粧品(保湿剤)を組み合わせて使用することが効果的です。

3.生活習慣にも配慮を

また、忙しいと乱れがちになる生活習慣。健康的な生活習慣はお肌の健康のためにも重要です。ついついこのような生活習慣になっていないか見直してみましょう。

  1. バランスの悪い食事
  2. 睡眠不足
  3. 過度なストレス
  4. 掃除や洗濯の頻度が低い
  5. お酒、カフェインなどの嗜好品の過剰摂取
  6. 喫煙
生活習慣の乱れは、敏感肌の原因にもなります。お肌の状態がよくならないときは生活習慣を見直してみましょう

生活習慣改善のポイント

ビタミンA ビタミンAは、皮膚を修復し、お肌のターンオーバーを促進あるいは正常化させる栄養素のひとつです。にんじんやほうれん草、かぼちゃなどの緑黄色野菜、レバー、うなぎ、バターなどに多く含まれています。
ビタミンC ビタミンCは、コラーゲンの生成を助け、お肌のターンオーバーをととのえてくれます。また、毛穴を引き締め代謝を促進する効果もあります。さらに抗酸化作用があり、しみやそばかすの原因となるメラニン色素の生成も抑制してくれるので、お肌の新陳代謝には欠かすことのできない栄養素です。いちご、キウイフルーツなどの果物や、ブロッコリー、赤ピーマン、菜の花、ほうれん草などの野菜に多く含まれます。
ビタミンE ビタミンEは、活性酸素を抑えてくれる働きがあるので、お肌のバリア機能を高め、乾燥の予防、お肌のターンオーバーをととのえる手助けをしてくれます。ごま油などの植物油、アーモンドなどのナッツ類、アボカド、かぼちゃ、赤ピーマンなどに多く含まれます。
ビタミンB群 ビタミンB群は、不足すると代謝が悪くなります。お肌のターンオーバーをととのえるためには必要な栄養成分です。また、ビタミンB1、B2、B6などは皮膚や粘膜の発育をうながしてくれます。これが不足すると、乾燥やにきびなどの肌あれが起きやすくなります。卵、レバー、大豆製品、乳製品、豚肉などに多く含まれています。

TOPICS⑥敏感肌と生活習慣

忙しいと乱れがちになる生活習慣。健康的な生活習慣はお肌の健康のためには重要です。ついついこのような生活習慣になっていないか見直してみましょう。

生活習慣の乱れによって体調が悪くなったり、またお肌に負担になったりと、敏感肌になってしまう原因になります。お肌の状態がどうしてもよくならない時には生活習慣を見直してみましょう

生活習慣改善のヒント

食事 一日3食バランスよく取りましょう。栄養バランスが崩れるとお肌にも影響がでやすくなります。間食の取りすぎにも注意しましょう。
睡眠 十分な睡眠をとりましょう。不規則な生活や睡眠不足はお肌にも影響をおよぼします。
ストレス 精神的なストレスは溜め込む前に運動などで発散しましょう。疲れがひどいときには、十分な休息をとりましょう。
身の回りを清潔に 敏感肌の改善には外からの刺激を避けることが重要です。身の回りを清潔にすることで、お肌への刺激を最小限に抑えることができます。
枕カバーやフェイスタオルなど、毎日お肌に触れるものは清潔に保つようにしましょう。
嗜好品 お酒・カフェインはとりすぎに注意しましょう。
喫煙 たばこは、しみやしわなどのエイジング症状やにきび、敏感肌の原因となります。喫煙中の人は本数を減らしたり、禁煙にチャレンジしてみましょう。
乾燥対策 エアコンなどの使用により室内は思っているよりも乾燥しています。加湿器を使ったり、保湿剤などでうるおいを補ってあげるのもよいでしょう。保湿成分が配合されたミスト化粧水であればメイクの上からでも使えておすすめです。
衣類のこすれ 衣類とお肌のこすれは摩擦刺激としてお肌に影響を及ぼすことがあります。肌あたりのよいものを選択しましょう。
髪/シャンプーの残り 髪の毛の毛先がお肌にあたることで刺激になることがあります。髪の毛はすっきりとまとめましょう。また洗浄剤の洗い残しもお肌への刺激になります。シャンプーをしたときはきちんとすすぎましょう。洗顔のときには髪の生え際の洗い残しにも注意します。