敏感肌の赤みの原因とは

敏感肌の赤みの原因とは

スキンケア 研究所 敏感肌の赤みの原因とは編

TOPICS①肌が赤くなるメカニズム

皮膚には、外界からの刺激物質、細菌などの異物(アレルゲン)の侵入を防ぐためのバリア機能という仕組みが備わっています。しかし、皮膚のバリア機能を突破されてしまう場合があります。
その際に自己を防御するため、「免疫」という機能がはたらきます。皮膚の赤みは、免疫反応の一つであり、生体を防御するために起こる炎症反応の結果の一つです。
B細胞、免疫細胞、リンパ球などが、血流にのって患部に届けられ炎症を抑制するための対処をします。そのため、一時的に毛細血管が拡張し、患部に向かって血流量が増加します。表皮部分はおよそ0.2mm程度しかないため、拡張した毛細血管の赤みは表皮を通して目で見て確認することができます。これが、赤みが起こるメカニズムです。

TOPICS②敏感肌の赤みやかゆみの原因

赤みはなぜ起こる?

お肌には通常、皮膚のバリア機能が備わっています。
お肌の表面は皮脂膜という皮脂で覆われた状態であり、角層では、アミノ酸などのNMF(Natural Moisturizing Factor, 天然保湿因子)が水分を抱きかかえ、さらに、角層細胞の間をセラミドなどの細胞間脂質がすきまを埋めることによって、体内の水分が逃げないように、また刺激を受けにくい状態になっています。
ところが敏感肌では、皮膚のバリア機能が低下していることが多く、お肌の水分を保つことできなくなるためお肌は乾燥し、外界からの刺激を受けやすくなります。そのため刺激を受けて炎症を起こしたお肌は赤くなります

かゆみはなぜ起こる?

痛い、冷たいなど皮膚では色々な感覚を感じることができます。しかし、かゆみを感じる仕組みについてはまだわからないことが多くあります。
かゆみは、表皮と真皮の境目にかゆみをキャッチする独自のかゆみ受容器があり、それに刺激が加わることで起こるのではないかといわれています。かゆみ受容器が作用する刺激には、皮膚に触れたものや温度の変化などによる物理的なものと、アレルゲンが侵入しかゆみを引き起こす物質(ヒスタミン)が分泌されたことによる化学的なものがあります。
かゆみを感じると搔いてしまいがちですが、掻くとますますかゆくなるというのも経験的によく知られた現象です。これは掻破により皮膚のバリア機能が物理的に破壊されてしまい外界からの刺激をいつもより受けやすくなってしまうためです。その際にかゆみを引き起こす物質(ヒスタミン)の分泌が起こるため、さらにかゆみを感じるという悪循環へとつながります。

では日常生活において皮膚のバリア機能の低下を防ぐためにどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。バリア機能が低下する原因として、次のことがわかっています。

<内的要因>
生活環境の変化に伴う心理的疲労・睡眠不足・栄養の偏り・暴飲暴食・生理・妊娠・更年期障害・ストレス・皮膚の乾燥を引き起こす疾患など
<外的要因>
紫外線・化粧品などの外用剤・温度や湿度の変化・汗・ほこり・ダニ・金属・衣服など

生活習慣(下表参照)が原因で赤みが出やすくなっているような場合には、生活習慣を見直すことで改善することがあります。

TOPICS③赤みを放置しておくと

お肌に赤みが伴っている状態は弱い炎症反応が慢性的に起こっており、その状態が長く続くと色素沈着を起こす可能性があります。
また、炎症性サイトカインが産生されている状態のため、しみやしわなど皮膚の老化にもつながりやすくなっています。そのため、早い段階で治療をする、また使用している化粧品が合わないときは使用を見直すなどの対処が必要となります。

TOPICS④赤みを改善するためには

健康なお肌は、水分と油分のバランスが整っています。しかし、皮膚のバリア機能が低下し、このバランスが崩れると水分が維持できずに乾燥し、様々な刺激を受けて炎症が起こりやすく赤みのでやすいお肌になります。
そのため、お肌を清潔に保ち、皮膚のバリア機能を正常に保てるような毎日のスキンケアが重要です。

赤みが気になるお肌のスキンケアのポイント

お肌に合うかチェック
お肌の状態は人それぞれです。本格的に使い始める前に、サンプルやトライアルセットなどで自分のお肌に合うかどうかを試してみることをおすすめします。
正しく使う
どんな化粧品も自己流の使い方ではせっかくの効果が充分得られないだけではなく、逆にお肌に刺激になってしまうこともあります。使用する手順や使用量など説明書をよく読んで正しく使うことが大切です。

また、忙しいと乱れがちになる生活習慣。健康的な生活習慣はお肌の健康のためにも重要です。生活習慣の乱れは、敏感肌の赤みの原因にもなります。お肌の状態がどうしてもよくならないときは生活習慣を見直してみましょう。

生活習慣改善のポイント

食事 一日3食バランスよく取りましょう。栄養バランスが崩れるとお肌にも影響がでやすくなります。間食の取りすぎにも注意しましょう。
睡眠 十分な睡眠をとりましょう。不規則な生活や睡眠不足はお肌にも影響をおよぼします。
ストレス 精神的なストレスは溜め込む前に運動などで発散しましょう。疲れがひどいときには、十分な休息をとりましょう。
身の回りを清潔に 敏感肌の改善には外からの刺激を避けることが重要です。身の回りを清潔にすることで、お肌への刺激を最小限に抑えることができます。
枕カバーやフェイスタオルなど、毎日お肌に触れるものは清潔に保つようにしましょう。
嗜好品 お酒・カフェインはとりすぎに注意しましょう。
喫煙 たばこは、しみやしわなどのエイジング症状やにきび、敏感肌の原因となります。喫煙中の人は本数を減らしたり、禁煙にチャレンジしてみましょう。
乾燥対策 エアコンなどの使用により室内は思っているよりも乾燥しています。加湿器を使ったり、保湿剤などでうるおいを補ってあげるのもよいでしょう。保湿成分が配合されたミスト化粧水であればメイクの上からでも使えておすすめです。
衣類のこすれ 衣類とお肌のこすれは摩擦刺激としてお肌に影響を及ぼすことがあります。肌あたりのよいものを選択しましょう。
髪/シャンプーの残り 髪の毛の毛先がお肌にあたることで刺激になることがあります。髪の毛はすっきりとまとめましょう。また洗浄剤の洗い残しもお肌への刺激になります。シャンプーをしたときはきちんとすすぎましょう。洗顔のときには髪の生え際の洗い残しにも注意します。

TOPICS⑤赤みのある敏感肌のスキンケア

赤みのある敏感肌では、皮膚のバリア機能が低下しているため、刺激を与えないようにすることが重要です。特にお肌に赤みがあるときは、刺激の少ない化粧品を選択することが重要です。

洗浄剤について

低刺激性の洗浄剤を使用し、しっかり泡立て、こすらないようやさしく洗うことが重要です。さらに、すすぎはぬるま湯で、洗浄剤が残らないよう十分にすすぐことが洗浄のポイントです。洗いすぎは細胞間脂質の過剰な流出を引き起こし乾燥へとつながるため注意が必要です。低刺激性の洗浄剤であっても、できるだけサンプルを使用してお肌の状態に合ったものかどうかを確認し使うようにしましょう。

保湿剤について

敏感肌では皮膚のバリア機能が低下しているため、刺激物質がお肌の中に侵入しないようにすることがポイントになります。低下した角層のバリア機能を補うために保湿をおこないましょう。皮膚のバリア機能を構成する因子には皮脂、天然保湿因子、細胞間脂質の3つがあります。保湿剤は、これらの3つの因子を補う成分が配合されているものがおすすめです。

皮脂の役割を補う成分としてはコレステロールスクワラン、天然保湿因子を補う成分にはアミノ酸、細胞間脂質を補う成分としてはセラミドなどがあります。これらの保湿成分は、保湿化粧品(保湿剤)で補うことができます。皮膚の乾燥度合いや使用感の好みによって、これらの作用を持つ保湿化粧品(保湿剤)を組み合わせて使用することが効果的です。

紫外線について

敏感肌はバリア機能が低下しているため、角層中の水分が少なくなりやすく、紫外線による肌ダメージを起こしやすい状態です。お肌に刺激になるものを避けるため、低刺激性・無香料・無着色の日やけ止めを選ぶとよいでしょう。
日やけ止めには紫外線吸収剤と紫外線散乱剤の2つの種類があります。紫外線吸収剤(ケミカル)は、紫外線のエネルギーを吸収し、熱などのエネルギーに変換することで遮光効果を発揮しているため敏感肌では刺激になることがあります。
それに対し、紫外線散乱剤(ノンケミカル)は、紫外線を散乱させることで遮光効果を示すため刺激になりにくいと考えられています。敏感肌の方には紫外線散乱剤(ノンケミカル)の日やけ止めがおすすめです。健やかなお肌を維持するために、朝・晩のスキンケアとともに正しい紫外線対策が必要です。

お肌の赤みはできたら隠したい、でもメイクで隠すとかえってお肌に刺激をあたえてしまうのではと悩むことがあるのではないでしょうか。
しかし、メイクを楽しむことでストレスが軽減されるということもわかっています。そのため自分の肌質に合う敏感肌用のメイクアップ化粧品を選ぶことが重要になります。
敏感肌の方がベースメイクを選ぶ際は、十分な紫外線の遮光効果があり、低刺激性・パッチテスト済み・アレルギーテスト済みなど安全性が確認されているものを選ぶことが大切です。

メイクアップ化粧品には大きく分けてベースメイクとポイントメイクがあります。
ベースメイクはお肌を外部から保護し、肌色やお肌の質感を変え、顔に立体感を与えます。お肌の欠点をカバーすることによって顔を美しく仕上げる化粧品です。
ポイントメイクは目の周りやくちびるに色味を与え質感を変え、美しく魅力的にする化粧品です。
お肌の赤みをカバーするためには、イエローの化粧下地をファンデーションにプラスして使用すると、色の補正効果で自然な肌色に近づけることができ効果的です。

肌トラブルをカバーするメイク

ベースメイク化粧品には化粧下地やファンデーションがあります。お肌の状態に合わせた化粧下地を選択するようにしましょう。
化粧下地はファンデーションのつきや、もちをよくする機能も備えます。乾燥が気になる場合は保湿効果の高い下地を、お肌の赤みを抑えたい場合はイエローのコントロールカラーの化粧下地、お肌のくすみによる印象を改善させたい場合はパープルやピンクなどのコントロールカラーの化粧下地を選択します。
ファンデーションは紫外線など外界の刺激から皮膚をまもる遮光効果や、リキッドタイプのファンデーションでは保湿作用もあり皮膚をすこやかに保つという観点からスキンケア的な一面も持っています。また部分用ファンデーションとも呼ばれるコンシーラーは、ファンデーションでは隠し切れない肌色のむらをカバーするためにもちいられます。最もカバー力が高くなっているため、特に赤みが気になる部分がある場合にはプラスして活用すると良いでしょう。

TOPICS⑥まずは皮膚科へ

敏感肌の方では、正しいスキンケアを毎日おこなっていても、体調や季節などの変化によって皮膚症状が悪化することがあるかもしれません。敏感肌によるお肌の赤みは皮膚のバリア機能が大きく関与していますので、皮膚を清潔に保ち、保湿をしっかりとおこない食生活や睡眠など生活習慣を整えるようにしましょう
一方、顔が赤くなる疾患もあります。「酒さ」は頬や鼻に赤み、小さな吹き出物、毛細血管の拡張がみられ、顔のほてりや発赤のある状態が持続し触れると熱感を感じるのが特徴です。酒さは年代を問わず発症し、湿疹やアトピー性皮膚炎、あるいはにきびと併発している場合もあります。酒さの原因はまだ明確にはわかっていませんが、紫外線、寒暖差、化学刺激、感情の変化、アルコール飲料、香辛料の摂取などによって症状が悪くなることが知られています。治療とともに生活習慣を見直すことで、症状をコントロールし悪化することを防ぐことも可能です。その他、アトピー性皮膚炎や何かにかぶれたりすることなどでも肌が赤くなります。

肌に赤みが起きた場合、敏感肌によるものの場合やアトピー性皮膚炎や酒さといった皮膚疾患によるものであったり、何かにかぶれたりしている場合もあります。ですので、自己判断であれこれ対策をとるよりも皮膚科を受診して医師の診察を受けましょう。原因を見つけたうえで、適切な処置をおこなうことが大切です。