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「敏感肌」とよく言われてはいますが、実は皮膚医学に敏感肌の明確な定義はありません。そのため、「敏感肌」はアトピー性皮膚炎などの疾患やアレルギー体質を指す場合から、ささいな要因で肌トラブルを起こしやすいなどの一時的なお肌の不調を含める場合もあります。
一般的に「敏感肌」と呼ばれるお肌では、皮膚のバリア機能が低下しており、アレルゲンや紫外線などの外的刺激に対して敏感に反応し、かゆみや赤みなどの肌トラブルが起こりやすくなっています。また水分が逃げやすいため、乾燥肌であることが多いです。
なぜ「敏感肌」になってしまうのでしょうか。
お肌には通常、皮膚のバリア機能が備わっています。皮膚の表面は皮脂で覆われていて(これを皮脂膜といいます)、角層ではアミノ酸などのNMF(Natural Moisturizing Factor, 天然保湿因子)が水分を抱きかかえ、さらに角層細胞の間をセラミドなどの細胞間脂質がすきまを埋めることによって、体内の水分が逃げないようになっています。
ところが、環境やホルモンバランス、生活習慣などによって皮膚のバリア機能が低下すると、角層の水分を十分に保つことできなくなるため、皮膚は乾燥し、外界からの刺激物質などが侵入しやすくなります。
バリア機能が低下する原因として、次のことがあげられます。
例えば、生活習慣の乱れなどによってお肌のターンオーバーのリズムが崩れ、バリア機能を低下させることもあります。アトピー性皮膚炎やアレルギー症状などによってお肌が敏感になっている場合には、皮膚科での治療が必要ですが、生活習慣が原因で敏感肌になっているような場合には、生活習慣を見直すことで改善することがあります。
表皮は内側から基底層・有棘層・顆粒層・角層で構成されています。
表皮の細胞の90%はケラチノサイト(角化細胞)で構成され、基底層で生まれ、形やはたらきを変化させながら移動し、やがてアカ、頭皮であればフケとなって剥がれ落ちます。この生まれ変わりを「ターンオーバー」と呼び、部位差はありますが、成人の顔では一般的に約28日、からだ(背中)は5〜7週間と言われています。
お肌の状態が悪くなるとターンオーバーが早まってしまうことがあります。ターンオーバーが早くなると、十分に成熟していない状態の細胞がお肌の表面に出てきてしまうため、お肌が本来持つバリア機能が発揮されなくなります。そのため、お肌がより敏感になってしまいます。
ボディソープ(全身用洗浄料)は皮脂や角質、ほこりなどを落とし皮膚を清潔にします。しかし一方で、皮膚のバリア機能を維持するために重要な皮脂や細胞間脂質、天然保湿因子なども同時に洗い流してしまう可能性があります。汚れをきちんと落とすだけではなく、お肌にとって必要なものは流出させにくいボディソープ(全身用洗浄料)を選ぶことが敏感肌や乾燥肌にとって大切です。泡立ちや洗い流しのしやすさなどの使用感のよさも兼ね備えたものが理想的といえます。ボディソープ(全身用洗浄料)のなかには肌あれ予防成分や抗菌成分が配合された医薬部外品(薬用)のものもあります。お肌の状態によってはこれらを選択してもよいでしょう。
ボディソープ(全身用洗浄料)に配合される洗浄成分は大きく分けて、「脂肪酸石けん」と「合成界面活性剤」の2種類があります。詳しくは「敏感肌にも使える洗顔料とは」もご覧ください。一般的なボディソープは「合成界面活性剤」を使用した商品が多く、洗浄力が強すぎたり、お肌に洗浄成分の残りを感じることもあるようです。
そのため敏感肌の方にはお肌への刺激の低い「脂肪酸石けん」の全身用洗浄料をおすすめします。「脂肪酸石けん」は洗浄力が適度であり、洗浄成分がお肌に残りづらくなっています。また洗い上がりはさっぱりしており、お肌に必要なうるおいをしっかり残すという特長があります。
全身用洗浄料はボディソープとしてだけでなく洗顔に使うこともできます。
全身用洗浄料には液体タイプ、泡で出てくるタイプ、固形タイプがあります。
全身用洗浄料を使ったからだの洗い方についてご紹介します。
洗浄料はよく泡立てましょう
洗浄料は泡立てることで洗浄力を発揮します。液体や固形タイプの洗浄料はそのままでは洗浄成分の濃度が高くなっているため、水を加えて、泡立てをしっかりおこなうことで洗浄成分の濃度が薄まり、お肌への刺激を減らすことにもつながります。きめ細かくたっぷりと泡立てることで泡の表面積が大きくなり、汚れとの接触面積が増えるため、少ない使用量で効率的に汚れを落とすこともできます。また泡がクッションとなって手とお肌の摩擦刺激を少なくすることができます。
洗浄料を泡立てる方法は、手で泡立てる方法、泡立てネットを使う方法などがあります。泡立てしやすい方法を自身で選びましょう。ここでは固形石けんを例にとって泡立て方を紹介します。
泡立てが苦手な方は、泡で出てくるタイプの洗浄料や泡立てネットを活用しましょう。
ナイロンタオルなどでごしごし洗わないようにしましょう
ナイロンタオルを使ってごしごしと洗うと皮膚のバリア機能の低下につながり、お肌が乾燥しやすくなります。また固形石けんをお肌に直接こすって洗うと皮膚への刺激となってしまいます。よく泡立てた泡のクッションで、手とからだが直接あたらないようにやさしく洗いましょう。
洗浄料はよくすすぎましょう
洗浄料のすすぎ残しは、肌トラブルの原因にもなります。わきの下や首のうしろなどのすすぎ残しに注意しましょう。からだをふくときは水気をおさえるようにこすらずにふきとりましょう。
ぬるま湯ですすぎましょう
お肌の水分量は入浴前より入浴後の方が少なくなってしまいます。また熱いお湯ですすぐとさらに水分量が低下してしまうため、お肌の乾燥につながります。すすぎの適温は熱くもなく冷たくも感じないくらいの温度が目安です。
洗浄後、お肌は洗浄前より乾燥します。入浴後5分以内を目安に保湿剤を塗りましょう。お肌が水分でうるおっているうちに塗るのが効果的です。
敏感肌の方は季節に合わせて使用感のよいものを選び、年間を通して保湿をすることが大切です。保湿ローションやクリームなどの保湿剤は角層に水分を与え、皮膚表面に油分の膜をつくり水分の蒸散を抑えます。お肌にやさしく塗り広げた後、手のひらで軽くおさえるようになじませましょう。
腕や脚などの皮脂が少ない部位には油分を含むクリームタイプの保湿剤を使用し、乾燥感を感じる場合は保湿剤の量を増やしましょう。ローションタイプの保湿剤の後にクリームタイプの保湿剤を重ねづけするとより効果的です。
背中への塗布はミストタイプの保湿剤が便利です。
また保湿入浴剤を使用することでも全身の保湿をすることができます。入浴剤には保湿をはじめ清涼、温熱、発汗などさまざまな効果のものがありますが、熱いお湯に長くつかったり、温熱効果のある入浴剤を使用すると皮膚の乾燥やかゆみが出やすくなるため、敏感肌の方は保湿入浴剤を選ぶようにしましょう。
敏感肌の方は、正しいスキンケアを毎日おこなっていても、体調や季節の変化などによって皮膚症状が悪化することがあるかもしれません。お肌のかゆみや赤みは皮膚のバリア機能が大きく関与しているため、皮膚を清潔に保ち、保湿をしっかりとおこない食生活や睡眠など生活習慣をととのえるようにしましょう。
皮膚のバリア機能が低下すると、皮膚は乾燥し外からの刺激に敏感になり、かゆみを感じやすくなります。かくことによって皮膚は傷つき、より過敏になります。また肌に赤みが起きた場合、敏感肌によるものの場合やアトピー性皮膚炎や酒さといった皮膚疾患によるものであったり、何かにかぶれたりしている場合もあります。そのため、自己判断であれこれ対策をとるよりも皮膚科を受診して医師の診察を受けましょう。原因を見つけたうえで、適切な処置をおこなうことが大切です。
健康な皮膚は、水分と油分のバランスがととのっています。しかし皮膚のバリア機能が低下し、このバランスが崩れると水分が維持できずに乾燥し、様々な刺激を受けかゆみや赤みなどが起こりやすい皮膚になります。そのため、皮膚を清潔に保ち、皮膚のバリア機能を正常に保てるように毎日のスキンケアが重要です。
食事 | 一日3食バランスよく取りましょう。栄養バランスが崩れるとお肌にも影響がでやすくなります。間食の取りすぎにも注意しましょう。 |
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睡眠 | 不規則な生活や睡眠不足はお肌にも影響をおよぼします。寝具を清潔に保つことにも注意しましょう。 |
ストレス | 精神的なストレスは溜め込む前に運動などで発散しましょう。疲れがひどいときには、十分な休息をとりましょう。 |
身の回りを清潔に |
敏感肌の改善には外からの刺激を避けることが重要です。身の回りを清潔にすることで、お肌への刺激を最小限に抑えることができます。 枕カバーやフェイスタオルなど、毎日お肌に触れるものは清潔に保つようにしましょう。 |
嗜好品 | お酒・カフェインのとりすぎに注意しましょう。 |
喫煙 | たばこは、しみやしわなどのエイジング症状やにきび、敏感肌の原因となります。喫煙中の人は本数を減らしたり、禁煙にチャレンジしてみましょう。 |
乾燥対策 | エアコンなどの使用により室内は思った以上に乾燥しています。毎日のスキンケアでしっかりと保湿をするのはもちろんのこと加湿器を使ったり、日中に乾燥感を感じた時は保湿成分が配合されたミスト化粧水を使いメイクの上からうるおいを補ってあげるのもよいでしょう。 |
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衣服 | 衣類とお肌のこすれは摩擦刺激になります。肌あたりのよいものを選びましょう。 |
髪 | 髪の毛の毛先があたることで摩擦刺激になることがあります。髪の毛はすっきりとまとめましょう。また洗浄料のすすぎ残しもお肌への刺激になります。シャンプーをしたときはきちんとすすぎましょう。洗顔のときには髪の生え際のすすぎ残しにも注意します。 |